宮川紗江選手へのパワハラ問題の発端と経緯
こんにちは。
8月29日、体操リオ五輪代表の宮川紗江選手が、都内で記者会見を開きました。
宮川紗江選手への指導中に暴力行為があったとして、日本体操協会が速見佑斗コーチ(34)に、無期限登録抹消処分を科したことが発端です。
しかし、この日、宮川紗江選手は記者会見で、速見佑斗コーチの暴力行為の事実は認めつつも、報道にあるような速見佑斗コーチからのパワハラではなく、体操協会から自身が受今までに受けたパワハラについて語りました。
「何日も自分の気持ちと向き合ってきた。嘘偽りなく話します」と宣言した後、宮川紗江選手の口から飛び出した内容は、想像を絶するような体操協会のパワハラの数々でした。
そして、常にその中心に君臨していたのが、「朝日生命体操クラブ」の監督を務める塚原千恵子女子強化本部長(71)であることから、この問題は大きな社会問題にまで発展していきそうです。
そこで、私自身もそうなんですが、途中から知ろうと思ってもよくわからないよ、という方のためにも、少し調べてみようと思いました。
ぜひ参考にしてみてください。
宮川紗江選手へのパワハラ問題 記者会見全文
宮川紗江選手のパワハラ問題 記者会見全文
なんでも最初が肝心。
時系列から言うと、速見佑斗コーチの宮川紗江選手への暴力行為が発端(最初)ですが、
宮川紗江選手の今回の記者会見での発言が、日本体操協会の宮川紗江選手へのパワハラ問題騒動の始まりとなるため、
まずは、記者会見の模様を知ってもらいたいと思います。
そこで、下記に「動画」とその「会見の全文」をご紹介します。
宮川選手「納得いかない」 冒頭本人発言ノーカット版
参考【YouTube】19:34
宮川紗江選手のパワハラ問題の記者会見
日本体操女子の宮川紗江選手は速見佑斗コーチに対する日本体操協会の処分に疑義を唱えた問題に関して
記者会見を開き、暴力行為があったことを認めたうえで日本体操協会の処分について「納得いかない」と話しました。
弁護人発言
山口:
代理人の弁護士の山口でございます。よろしくお願いいたします。
まず私のほうから本件の経緯について簡単に事実経過のところだけ説明させていただきたいと思います。
まず、そもそも私のほうが宮川選手より依頼を受けたというのが、今年の7月3日のことになります。
当時、宮川選手は愛知県内のある会社とスポンサー契約を締結しておりましたけども、そのスポンサー契約の解除を考えておりました。
そこで私のほうがスポンサー契約解消に関する交渉の代理業務ですね、こちらのほうを受任させていただきました。
その後、7月5日付で7月末をもってスポンサー契約を解消したいという旨の書面のほうを発送いたしております。
この件に関しましては、現在はその会社のほうも代理人の弁護士が付いておりますので、代理人間で協議をしているという状況でございます。
続きまして今度、7月19日のことになりますが、速見佑斗コーチのほうから私のほうに対して連絡がございました。
内容に関しましては、協会から正式な連絡というのはまだないんですけども、どうも周囲の人間の話では速見コーチにパワハラの事実があったと。
このことについて協会が調査を始めているようだという連絡がございました。
7月23日に協会のほうから速見コーチの元に正式にパワハラに関する事情聴取を行うということで、7月30日午前11時に千代田区内の法律事務所のほうに来るようにと、
このような連絡があったそうです。
速見コーチのほうから私も話を聞き、私も事情聴取に立ち会ったほうがいいというふうに考えまして、速見コーチに対して弁護士も同席させてもらいたいという旨を協会のほうに連絡してほしいと、このようにお願いいたしました。
で、同席の可否を確認させていただいたんですが、ただ、体操協会の山本専務理事のほうから今回の弁護士先生の同席はなしでお願いします。
今回の聞き取りは速見コーチが聞き取りに応じるか拒否するかということになりますので、弁護士同席なら聴取に応じるという回答は拒否と見なしますので、聴取を拒否された場合には
第三者の供述を基に事実を認定することになりますので、ご理解願いますとの回答がなされました。
そのためやむを得ず【聴取 00:03:16】の同席を諦めて、速見コーチ1人で事情聴取に行ってもらうということになりました。
事情聴取のあとですけども、協会からの連絡というのは特にございませんでした。
で、ご存じのとおり8月14日に速見コーチの元に懲戒処分の通告書が届き、内容は無期限の登録抹消、NTCの立ち入り、出入り禁止という非常に重いものでございました。
で、翌15日にすでに報道されましたけども、協会側からも一方的な情報のみで報道がなされていたということで、内容に誤りがあったりですとか、一般の方も誤解を抱いていたということがございましたので、宮川選手に報道内容に一部誤りがあるというのは、速見コーチと一緒にやっていきたいという意向を表明したいという申し出がございました。
それで8月21日に宮川選手直筆の署名を報道各社にFAXさせていただきました。
速見コーチの裁判のほうについてですが、8月の20日に東京地方裁判所に仮処分の申し立てを行いました。
22日に裁判官による第1回の審尋が行われました。それで裁判所のほうから協会側からもやはり事情を聞く必要があるということで、双方審尋の期日を設けるということになりました。
それがあさって8月31日になります。で、裁判所より体操協会に対して呼出状が発動されました。
協会側から8月24日にコメントが出されたようでありますが、そのコメントはこちら側のほうに届いておりませんので、詳細のほうはわれわれ不明です。
昨日も出されたようですけども、そちらも直接こちらのほうには届いておりませんので、こちらも詳細は分かりません。
で、宮川選手のほうからやはり自分の言葉で今回の経緯について説明したいという申し出がございましたので、本日記者会見を執り行うこととなった次第でございます。
以上です。
司会発言
司会:
次に宮川選手よりコメントを発表させていただきます。
それではよろしくお願いいたします。
宮川紗江発言【本番】
宮川:
本日はお集まりいただきありがとうございます。
まず初めに速見コーチに対する暴力行為において関係者の皆さま、応援してくださっている皆さまに対し、ご心配とご迷惑を掛けてしまったことを深くおわび申し上げます。
そして現在、NTCで世界選手権へ向けて代表合宿を行っているチームメートに対し、このような事態となってしまいご心配とご迷惑を掛けてしまったことを申し訳なく思っています。
今現在さまざまな報道がなされている中で、私自身の言葉でしっかりと全ての真実を語るために、記者会見の場を設けていただき、今日この場に来ました。
何日も自分の気持ちと向き合って考えてきました。
嘘偽りなく語ります。
まず初めに、私なりに日本体操協会から無期限の登録抹消処分を受けた速見コーチの暴力行為について過去を振り返り考えました。
私は今まで8年以上にわたり速見コーチに指導していただきました。
速見コーチの指導には厳しさの中にも人の何倍もの楽しさや優しさがあり、私は共に東京オリンピックを目指し、その中でも金メダルを目標として頑張ってきました。
リオオリンピックでは悔いの残る仕上がりだったので、2020年の次こそはという気持ちで頑張っていました。
基本的に速見コーチの指導は、「紗江はいつか必ず素晴らしい選手になれる」が口癖で、そのために何が必要なのかを具体的に分かりやすく説明してくれます。
速見コーチの指導には、今日も早く練習に行きたいと思わせてくれる要素がたくさん含まれています。
だから私は体操が好きで毎日楽しいです。
そんな中でずっと一緒に練習をしていると当然うまくいかない時期もありました。
技の途中で力を抜いてしまうことや、気持ちの部分で練習を投げ出してしまい、大けがや命に関わるような場面では特に厳しく指導されました。
私の記憶の限りでは暴力とされる行為で指導を受けたのはそういう場面です。
そのときはそれぐらい怒られても仕方のないことだと理解していました。
本気で伝えたいという思いが行き過ぎた指導になったと思うのですが、速見コーチが私に対して暴力をしてしまったことは決して許されることではなかったのだと今は理解しています。
そして今後も暴力行為を許すつもりはありません。
次に報道やネットニュースに出ている部分で誤っている点をお伝えします。
まず馬乗りになって殴打したという報道については、そんなことは一度もありません。
次に髪の毛をつかんで引きずり回されたことも一度もありません。
あと、たたかれたことによってけがや傷を負ったことや、体を痛めたことはありません。
事実として手でたたかれたり、髪の毛を引っ張られたりされたことはあります。
時期についてははっきりとは覚えていませんが、いずれも1年以上前になることは確かだと思います。
今はもうそういった指導はありませんが、速見コーチも過去、私に対して暴力の対象となる行為で指導を行ったことは間違いだったと深く反省しています。
そして周りの方々に対し、迷惑を掛けてしまったことも深く反省しています。
私自身、報道でいろんな方々の意見を聞き、どういう理由であれ暴力を認めることはあってはならないことだと考え方を改めました。
次に私の今の状況ですが、私は速見コーチの処分と大々的な報道により、かなりのショックとダメージがありました。
その影響かは分かりませんが、睡眠が思うように取れず、毎日頭痛が治まりません。
毎日が不安で今は練習に集中できる状況ではなく、けがだけしないように体を動かしているだけという状況です。
現在、速見コーチは活動を自粛しており、専属コーチなしで練習を行っています。
世界選手権代表のチームメートには本当に申し訳ないのですが、私は今の状況で日本代表として責任を持って戦っていくことは精神的にも肉体的にも不可能だと判断し、今年は世界選手権、全日本シニア選手権、日本代表合宿を全て辞退することを決意しました。
私は速見コーチと共に一から出直すつもりで全てをやり直し、全てを見つめ直して、また再スタートを切りたいと考えています。
東京オリンピックに向けて選手、コーチ共に誰の目から見ても良いモデルとなれるよう、共に努力して必ず復帰したいと思っています。
次に速見コーチの処分について、今回の処分内容は無期限の登録抹消になります。
最初に聞いたときはいくらなんでも重すぎると思いました。
速見コーチは処分の重さは別としても、駄目なことは駄目なこと、処分は受けるべきだし、筋が通らないことと私に話しました。
ただ、現在の処分内容では東京オリンピックに向けて大きな不安を抱えたまま2020年を迎えてしまいます。
私はこの処分の重さにはどうしても納得ができません。
そこで今回の件について私の身の回りで起こっていた出来事を話します。
速見コーチの処分に至るまでの経緯で納得のできない不自然な出来事が幾つも起こっていました。
まず7月11日、協会の女子体操専任コーチより、速見コーチの元に7月15日から行われる代表合宿には速見コーチは参加できませんと電話で連絡を受けました。
7月15日、代表合宿初日の練習中である15時ごろに女子強化本部長と体操協会副会長の待つ部屋へ私は1人で呼ばれました。
「暴力の話が出ている」
「あなたが認めないと、あなたが厳しい状況になるのよ」
と何度も言われ、
「速見コーチが除外されたあと、あなたが一番困りますよ」
「私はあなたの味方よ」
と言われました。
さらに、
「あのコーチは駄目、だからあなたは伸びない」
「伸びないのはコーチのせい」
「私なら速見の100倍は教えられる」
とも言われました。
「私はほかの人が証言しても私は証言しません」
と答えました。
どうしたいのかを聞かれたので、
「ずっと前から目標に向けてコーチと一緒に計画を立て、頑張ってきました」
「怖くて何も言えない先生ではなく、自分の考えを言える先生です」
とはっきり主張しました。
「これからも家族と共に先生を信頼して一緒にやっていきます」
と言ったところ、
「家族でどうかしている、宗教みたいだ」
と終始高圧的な態度で言われました。
その会話の中で
「オリンピックにも出られなくなるわよ」
という発言もありました。
家族もコーチも否定され、私は速見コーチと引き離されてしまうんだ。
恐怖と苦痛で全てがおかしくなってしまいそうでした。
7月16日、私は一睡もできず、もう気持ちも限界だと思い、
「強化本部長にこれ以上精神的に限界です。帰りたいです」
と申告しました。
「それはあなたのわがままよ」
と言われ、それ以上は言えず、仕方なく合宿に残りました。
そして7月20日、
「強化本部長付き人の方から今後速見コーチとは練習できなくなる」
「朝日生命で練習できるし、NTCで練習する場合は専任コーチが来てくれるから」
と言われ、
「合宿最終日の21日には朝日生命の寮も1つ空いているから、そこを使ってもいいのよ」
「朝日生命からも近いし、朝日生命で練習をすれば本部長もいるから」
とも言われました。
そのときに専任コーチの電話番号を受け取りました。
これはまだ速見コーチの聴取すら行われていない段階です。
最初から速見コーチの過去の暴力を理由に、速見コーチを排除して朝日生命に入れる目的なんだと確信に変わりました。
とにかく絶望的な気持ちになり、何がなんだか分かりませんでした。
7月15日から21日までの合宿中、複数のコーチが本部長に呼び出され、速見コーチの暴力を見たって言いなさいと何度も迫られていたとあとで耳にしました。
その後の調査にも幾つも納得できない部分がありました。
まず7月30日に体操協会から速見コーチの聞き取り調査がありました。
速見コーチの弁護士同席は拒否されたようです。
練習拠点の1つにしている施設には、8月3日、4日、5日、8日の4回に渡り、速見コーチを犯罪者扱いし、そんな人間を出入りさせていいのかという、
出入り禁止を要求する匿名の電話があったとの報告を受けました。
8月6日には、私の父親が事務局長にメールで保護者の面談も早急にお願いしたいとの連絡を入れましたが、その後、連絡はなく、8月14日に速見コーチに処分通知が届き、15日にメディアで一斉に報道されました。
当日、夕方に電話で事務局長より速見コーチの処分が執行されたとの連絡がありました。
私も両親も激怒しました。
ここまでが報道されるまでの経緯です。
以上の流れから考えて、速見コーチと私を引き離すことを前提に、多くの力が働いていたことは間違いなく、そこに強化本部長が大きく関わっていたことは間違いないと確信しています。
次に私は以前からずっと苦痛や疑問に感じていたことがあります。
少し勇気が必要ですが頑張って話したいと思います。
2016年リオオリンピックが終わり、2017年より2020東京五輪特別強化というものが発足しました。
2016年11月に行われて説明会に参加しましたが、2020のコーチもまだ決まっておらず、強化プランの内容や性格が全く見えないことと、2020で強化したい人は参加してくださいと参加は義務ではなかったため、私は参加申込をしませんでした。
速見コーチには、「紗江にとって強化できると感じるなら入ったほうがいい」と言われましたが、元々ナショナル強化選手に選ばれていたので自分が信頼する今までどおりの強化体制でやっていこうと自分で判断しました。
すると後日、家に電話が入り、私は強化本部長より
「2020に申し込みをしないと、今後協会としてあなたには協力できなくなるわよ」
と言われました。
「オリンピックにも出られなくなるわよ」
とも言われました。
この時私は今までに感じたことのない恐怖を感じ怯えていました。
すぐに母親とコーチに連絡を入れました。
そんな中、2017年7月にNTCで練習を行っていたところ、強化本部長が突然現れ、速見コーチと別の所属コーチが部屋の中へ呼ばれ、2020に属している選手ではないという理由で突如NTCでの利用に制限がかけられてしまいました。
現在も利用制限を受けています。
2020に属していないという理由で、冬から春にかけての海外派遣も2年連続でさせてもらえませんでした。
ナショナル強化指定選手であり代表選手にもなっていましたが、あなたは言うことを聞かないので強化の対象外ですと言われているようでした。
いくらオリンピックに出てもナショナル選手であっても言うことを聞かなければ、こういう仕打ちを受けてしまうのかとそういうようにしか捉えることができませんでした。
見方につけば優遇されるということなんだと思いました。
私は優遇されるために体操をやっているわけではありません。
純粋に強くなりたいです。
これは私だけが対象ではなく同じ被害を受けている選手が多くいます。
ちなみに2020は発足当初からあまりにも先が見えなかったため、多くの所属クラブや選手から疑問の声が上がっており、当初ナショナルとジュニアナショナル強化選手のほとんどが参加をしてませんでした。
私はその中の一人でした。
客観的に見て強化を行っている実態がないため何のために存在しているのか理解できませんでした。
その事実と現状は複数のコーチより事務局長と専務理事の方へ連絡して改善を要求しています。
ここで協会として改善するべきだとの回答をもらいましたが、その後何の変化もなく、更に言えばなにかされてしまうかも知れないということで、この状況で戦っていこうと泣き寝入りしました。
この現状を知った体操協会の方はこのことを覚えていますか?
言うことを聞けば優遇され聞かなければ排除される、権力があれば全て許されてしまうのでしょうか?
女子の体操はすべての判断基準が言うことをきくか効かないかで決まるのだと思いました。
強化本部長の周りには言う事を聞く人しか存在しないように見えます。
私もずっと権力のある人たちにとっては選手一人の人生など全く関係のないことなのだなと理解しました。
そんな絶望的な気持ちの中でも信念を持って自分が強くなれば証明できると思い今まで頑張ってきました。
言いたくても言えば何をされるかわからないという理由で声を出せない選手、コーチ、審判の方々も多くいらっしゃると思います。
私はこれこそ権力を使った暴力だと思います。
私は純粋な気持ちで体操し、純粋に強くなりたいです。
みんなが平等な権利を持って納得がいく基準での選考方法や、先の描ける具体的なプランなど、ひとりひとりが意見を言える強化体制が存在するべきだと強く感じます。
体操協会にはこれらのパワハラの事実を素直に認めていただきたいと私は切に願います。
私はまだ18年しか生きていませんが、いま人生の中に一番の勇気を出してここに立っています。
私の願いが届くことを祈っています。
私も速見コーチも両親もこれから苦しい状況の中で闘っていくことになるかもしれなせんが、逆境に負けず、自分の信じた道で必ずもっといい選手になりたいと思います。
長文を最後まで聞いていただきありがとうございました。
記者会見での宮川選手の発言はここまで。
質疑応答部分は入れていません。
みなさんどうですか?
記者会見の動画
そして
その全文を読んでみて
問題点を理解していただけましたでしょうか。